太陽光発電の雑草対策として除草剤の使用を考えている人も多いと思います。ただしご用心。除草剤の間違った使い方をするといろいろと問題が発生する場合もありますよ。 ありがちな失敗(その1)傾斜地なのにラウンドアップを掛けてしまった [capt[…]
Step1:雑草の丈が高いか低いか
太陽光発電におすすめな除草剤を選ぶ前に、まずは雑草の状態により、除草剤をまいてよいのかどうか判断が必要です。
上の写真は、太陽光発電の敷地の中でもよく見られる「セイダカアワダチソウ」という雑草ですが、とても大きくなります。
このように大きくなった状態だと、茎もとても太くなっています。
このような状態の雑草に除草剤を撒いても一時的に葉が茶色くなっても、すぐに復活してきます。
雑草の高さが1mを越えるようであれば、まず草刈りが必要です。
Step2:太陽光発電のある場所は平坦地か傾斜地か
次に太陽光発電を設置している場所が、「平坦地」なのか「傾斜地」なのかで、除草剤を撒けるか撒けないか判断が必要です。
平坦地の場合であれば、それほど気を使うことはありません。
ですが傾斜地の場合、以下のような理由で除草剤の散布には細心の注意が必要です。
- 散布した除草剤が傾斜に沿って周辺地に流れでる。
- 傾斜地の場合たいてい排水路がのり尻側にある場合がほとんど。この水路をつたって除草剤が下流の田畑へ流出する恐れがある。
- 除草剤で雑草を全て枯らしてしまうと、大雨のときに雨水がのり面を削り、最悪の場合、のり面崩壊につながる。
傾斜地にある太陽光発電の場合は、除草剤散布の専門会社に相談するほうがよいでしょう。
Step3:除草剤の散布する時期によって除草剤は選ぼう
雑草の散布する時期によって、実は除草剤の選び方もちがってきます。
雑草が伸びてしまってから撒く除草剤は「茎葉処理」の除草剤
「茎葉処理」の除草剤とは、「除草剤が葉や茎に掛かって効果がある除草剤」のことです。
つまり「土に落ちてからは効果がない」のです。
茎葉処理の除草剤は土におちると分解されて無毒化します。
茎葉処理の除草剤は以下の特徴があります。
- 茎や葉から吸収されるので効果が早い
- 土におちると分解してしまって効果がなくなる。
- 除草剤を散布してからすぐに雨が降ると、除草剤が流されてしまって効果がなくなる。
- 草丈が1mを越えるような状態で散布しても、一時的には枯れるが、すぐに復活してくるので、1m未満のときを目安に散布する。
雑草が発芽する前に撒くのは「土壌処理」の除草剤
「土壌処理」の除草剤とは、簡単にいうと、除草成分が地表を覆って、雑草が発芽してきにくくなる除草剤です。
いわば「予防的な除草剤」
上で紹介した「茎葉処理型除草剤」とちがって効果が長くつづくので、長期間雑草の発芽を抑えることができます。
土壌処理型除草剤の特徴は以下のとおりです。
- 土の表面に「除草剤の幕」を作って長期間雑草の発芽を抑える。
- 地中にある雑草の種に作用して種の状態で雑草を枯らしてしまう。
- 一部の雑草に対しては根から吸収して枯らす効果もある。
- 雨で周囲に流出するので、周辺に農地がある場合は撒けない場合がある。
土壌処理型除草剤と茎葉処理型除草剤どちらがおすすめ?
一般的には「雑草が伸びてしまったから除草剤を撒かないと」ということで除草剤を撒く場合が多いと思います。
ですが実は「雑草が伸びる前に予防的に除草剤を撒く方が雑草対策は楽なのです。」
茎葉処理剤と土壌処理剤を比較
比較1:薬剤単価を比較
ラウンドアップの1㎡あたりの価格
茎葉処理除草剤の代表的な薬剤「ラウンドアップ」の材料単価は平均的に5.5リットルで1万円くらいです。
ラウンドアップの場合平均的な希釈倍率50倍で5リットルの薬剤を使って1000㎡散布できます。
つまり10円/㎡くらいです。(材料代のみで散布労務費は含みません。)
ラウンドアップ:約10円/㎡
ネコソギの1㎡あたりの単価
ホームセンターなどで購入できる土壌処理型除草剤の代表的なものに「ネコソギエースV」があります。
ネコソギエースVの平均的な価格は3kgで3500円くらいです。
ネコソギは粒状で1㎡あたりの散布量は300㎡くらい散布できるので1㎡あたり11円から12円くらいです。
ネコソギエースV:約11~12円/㎡
比較2:散布の方法を比較
茎葉処理剤の場合は動噴などの散布機で比較
茎葉処理の除草剤の場合、水で希釈して散布することが多いので、動噴などの噴霧器が必要になります。
最近ではそのまま撒けるものもありますが、単価が高いので、希釈して散布するのが一般的です。
太陽光発電の場合、敷地が広いので、大型の動噴や希釈用の水タンクなどが数トンレベルで必要になります。
土壌処理剤の場合は粒状なのでそのまま手撒きが可能
土壌処理除草剤の場合、粒状のものが主体になります。
粒なので手でバラバラと撒く方式でも大丈夫なのですが、粒散布機があるほうが撒きムラがなく除草剤を撒くことができます。
動噴で希釈水を準備して散布するよりも手軽です。
比較3:効果が続く効果と期間を比較
茎葉処理剤の効果は即効性だが効果は一時的
茎葉処理の除草剤は各社色々出していますが、基本的にはすぐに効果はできるけど、効果は一時的です。
根まで枯れるという触れ込みで、確かに根まで枯れますが、除草剤が掛かった雑草が枯れても、雑草の陰にあった新しい種から発芽した雑草が芽を出して生えてきます。
地面には様々な雑草が発芽の機会をうかがっているので、完璧に茎葉処理剤で雑草を根絶することは困難です。
土壌処理除草剤の場合緩やかに長く効果が続く
土壌処理剤は効果が長く続くので、緩やかに長期間雑草を抑えることができます。
土壌から生えてくる雑草を抑えるので、薬剤効果としては茎葉処理剤よりも長期間雑草を抑えることができます。
比較4:散布できる場所を比較
茎葉処理剤はドリフトに注意
茎葉処理除草剤の場合ドリフトという、除草剤の飛散には注意が必要です。
除草剤が飛散して周辺の工作物へ掛かってしまったら、損害賠償問題になります。
土壌処理剤は土からの流出に注意
土壌処理剤の多くは「粒状」をしているので、粒のまま地表に長く残ります。
そのおかげで、薬効が長く聞きながら雑草を抑えるわけですが、大雨などで流されるリスクもあります。
流されて用水路などに入ってしまうと大変です。
土壌処理剤を使用するときには、周辺の状況にしっかり配慮することが大切です。
- 雑草の高さに応じて雑草対策を選びましょう。草丈が高く育っている場合、除草剤では効果がない場合があります。
- 散布する場所の勾配に注意しましょう。のり面の場合、下手するとのり面が崩壊するおそれもあります。
- 茎葉処理剤、土壌処理剤とも使用する場合の注意点を把握したうえで使用しましょう。
次回、上記のような条件に応じた、太陽光発電のおすすめの除草剤について紹介したいと思います。
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