竹林 二酸化炭素固定 竹林はどのくらいの二酸化炭素を固定するか

竹林 二酸化炭素固定 について調べてみましたので紹介したいと思います。

竹林 二酸化炭素固定 についての学術的報告

https://xn--u9j842k3xbu29bxkieq3a.com/archives/2100

国際竹籐ネットワーク(INBAR)という国際機関によって、竹の有効性に関する報告書 「Bamboo and Climate Change Mitigation」において、二酸化炭素固定の観点から、竹の炭素吸収についての研究が分析されています。

ちなみに、国際竹籐ネットワーク(INBAR)とは以下のような団体だということです。

国際竹藤ネットワーク(INBAR  )は、竹と籐を使用した貧困と環境の持続可能性に対する革新的な解決策を開発および促進するために1997年に設立された独立した政府間組織です。

INBARは、1984年にカナダの国際開発研究センター(IDRC)によって設立された竹と籐の研究者の非公式なネットワークから発展しました。「国際竹藤ネットワーク」という名前は1993年に選ばれました。独立組織としてINBARを立ち上げる作業は、1995年に始まり、1997年にINBARが中国の北京に本社を置く独立組織になったときに完了しました。[5]バングラデシュ、カナダ、インドネシア、ミャンマー、ネパール、ペルー、フィリピン、タンザニア連合共和国 INBARの8人の創設メンバーで構成されています。それ以来、INBARは、研究のみの組織から、より行動に焦点を当てた任務に向けて、強度と範囲が大幅に拡大しました。2016年11月、この変更を反映して、組織の名前が国際竹藤ネットワークに変更されました。

引用元:https://wikijp.org/wiki/International_Bamboo_and_Rattan_Organisation

この報告を引用しながら、竹林 二酸化炭素固定 について解説したいと思います。

そもそも竹は「木」なのか「草」なのか

竹は木材なのか草なのかと問われてたときに、どちらだと答えますか?

緑守
竹は木だと思いますか?草だと思いますか?
竹は大きく育つので木のようにも思えますが、竹には木のような年輪はありませんね。
竹は木のように何年も生育して、太くなることはありません。
では竹は草なのか?と草と比べてみると、これもまた違うように思えます。
竹が「木なのか草なのか」については、上で紹介した機関においては「草」に分類されているようです。
もっとも、日本国内の児童書の中では、「草と木のあいのこ」という表現で紹介している場合が多いようです。
「竹・笹は、木のように背が高くなるし、とてもかたくじょうぶになりますが、木のように太り続けるということはありません。また、木でいう幹にあたる「稈」は、数年から20年くらいで枯れてしまい、木のように長生きしません。そのかわり地下にある茎は長く生き、横にのびて広がっていきます。」とあり、「このように、竹・笹は木と草のあいだのような性質をもっています。」
引用元:ゆのきようこ 長谷川哲雄『木と日本人』 理論社,2015,63p. 参照はp.36-37.

木でも草でもない竹林は二酸化炭素を固定するのか?

竹林 二酸化炭素固定 竹林イメージ

それでは、木でも草でもない竹は、二酸化炭素を固定するのでしょうか?

竹の成長はとっても早いですね。

春先に出たタケノコはあっという間に育って、10mを越える高さになる場合もあります。

竹も光合成をして成長をしているわけですから、それほどに成長の早い竹は、当然二酸化炭素を体内に固定していると思われますが、実際のところはどうなのでしょう。

上述のINBARの報告書の中では以下のような説明があります。

大気中の高濃度の二酸化炭素を緩和するために利用可能な選択肢の中で、森林や森林管理の改善は、非常に注目されている。世界的な森林破壊は、二酸化炭素排出源の中でも最も重要なものの一つだが、他の選択肢に比べて比較的簡単に止めることができると考えられている。森林は、森林面積の拡大や森林管理の改善などを行うことで、重要な炭素吸収源としての役割を果たすことができる。

植物学的に、竹は木質の草であって木ではないが、竹林は森林と同様の特徴を持ち、炭素循環の中での役割を果たしている。竹林は光合成によって炭素を隔離し、竹の繊維と竹が成長する土壌に炭素を閉じ込めているが、竹林と森林は、重要な違いがある。

引用元:「Bamboo and Climate Change Mitigation

報告書の中では竹林も樹木と同様に二酸化炭素を固定しますが、「竹林と森林は重要な違いがある」と書かれています。

重要な違いとはなんなのでしょう。

二酸化炭素の固定の観点からみた樹林と竹林の違い

二酸化炭素の固定という観点からみた際に、樹林が二酸化炭素を固定するのは、「木材」として有効活用されている場合です。

伐採した樹木を燃やしたり、不要になった木材を燃やして処分したりすると、二酸化炭素として放出されています。

これに対して、竹材の場合、二酸化炭素固定の観点からすれば、木材と比べて次のような違いがあると報告されています。

管理された竹は、初期の成長速度が早いうえに、毎年の再成長率も高く、個々の竹稈(ちくかん、幹に当たる部分)のライフサイクルは5年~10年と、比較的短い。また、竹から得られる製品は、一般的に木材林から得られる製品に比べ、耐久性の低い用途に使用されているため、INBARとパートナーは、竹が炭素貯蔵の観点からどのように作用をしているのか、また炭素貯蔵の性能において樹木と比較してどうなのかを明らかにすることに着手した。

引用元:「Bamboo and Climate Change Mitigation

つまり

  • 竹のライフサイクルは5年から10年と短いため、この間でないと二酸化炭素の固定に関与しない。
  • 竹から作られて製品は木材と比べて耐久性がないため、固定された二酸化炭素は、早い段階で放出されてしまう。

という二点から、樹林が固定する二酸化炭素量とは、考え方が異なるということのようです。

竹林 二酸化炭素固定 についての報告

同報告の中では竹林が固定する二酸化炭素量について、中国モミ林との比較により報告されています。

中国南東部の亜熱帯の孟宗竹(もうそうちく)林と、急成長している中国モミ植林の炭素隔離の比較分析から、密度3,300本/haの孟宗竹林と密度2,175本/haの中国モミ植林は、急速な成長率と気候条件に関して同等の特徴を持っていることがわかった。この研究では、両種の成長パターンを分析し、動的バイオマスモデルと炭素モデルを使用して、炭素吸収の相対的な割合を確認した。その結果、両種の炭素吸収率は同等であるものの、異なるパターンをたどっていると結論づけられている。

– 新たに植林された孟宗竹林の年間正味炭素貯蔵量を計算したところ、5年目に5.5t C/haのピークを示した。孟宗竹は、最初の5年間はモミよりも多くの炭素を貯蔵していたが、その後の5年間は中国モミよりも少なかった。通常の管理方法(一般的な伐採方法と組み合わせた立木と土壌の管理を含む)では、孟宗竹林は、最初の30年間の伐採ローテーションと2回目の30年間の伐採ローテーションの間に、中国モミ植林と同等かそれ以上の量の炭素を隔離していたことがわった。

– これに対して、竹林が伐採管理されていなければ、炭素隔離の効果は著しく低下する。中国モミ植林の最初の30年間と比較すると、竹林は中国モミ植林が炭素を隔離した総炭素量の30%程度しか隔離していない。つまり、管理されていない竹の植林地では、中国モミの方が竹よりもはるかに炭素の隔離効果が高い可能性が高い。

引用元:「Bamboo and Climate Change Mitigation

この報告によれは、モウソウチク林の年間の炭素貯蔵量は、5年目に5.5tC/haでピークに達したそうです。

この当初の5年間で中国モミ林と同等の炭素を貯蔵したとの報告となっています。

ちなみ日本の森林の二酸化炭素貯蔵量については、以下のような数字がとりあげられています。

また、この36~40年生のスギ人工林1ヘクタールが1年間に吸収する二酸化炭素の量は、約8.8トン(炭素量に換算すると約2.4トン※)と推定されます。

引用元:林野庁HP

これに対して広葉樹林の場合、二酸化炭素を固定する量は、針葉樹林の約半分とされています。(以前に作成した記事があるのでご覧ください⇒森林はどのくらい二酸化炭素を吸収 するのか?森林の二酸化炭素の吸収と炭素の蓄積について)

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針葉樹林の場合、葉が針状で葉のボリュームも多く、樹高も一般的な広葉樹より高く育つことが多いため、二酸化炭素の固定量は多いと考えられます。

これらと比較すると、竹の二酸化炭素の固定量は、かなり大きな固定量であるといえます。

※CO2:C=12、O=16なのでCO2=44になります。したがって固定した二酸化炭素量に対して炭素量はC/CO2=12/44ということになります。

INBARが竹林 二酸化炭素固定についてまとめている内容

INBARが報告書の中で竹林 二酸化炭素固定についてまとめている内容は以下のとおりです。

結論として、この比較分析では、熱帯地域と亜熱帯地域の急成長樹木であるユーカリ植林と中国モミ林をそれぞれ考慮した場合、竹林は急成長樹木に匹敵するように思われる。さらに、竹の再成長能力と毎年の伐採体制に由来する炭素吸収能力により、その恩恵は生態系や地域レベルにまで及んでいるように思われる。

持続可能な管理と竹資源の適切な利用は、短期的には生態系内の炭素貯留能力を高める管理の変更を通じて、長期的には炭素を耐久性のある製品に変換することを通じて、炭素の封じ込め量を増加させることができる。

竹は世界中で何億人もの人々によって管理・利用されており、家庭での利用や河川敷の保護から収入源としての利用まで、さまざまな用途で竹に依存している。多くの竹農家は発展途上地域に住んでおり、貧困にあえいでいる。持続可能な炭素隔離ツールとしての竹の普及は、気候変動を緩和するための新たな機会を生み出すだけでなく、持続可能な竹の管理、産業、技術への投資を通じて、何百万人もの農村の生計を改善し、保護することができる。

引用元:「Bamboo and Climate Change Mitigation

この報告から見えてくるのは、竹の炭素固定能力は、当初5年間で見るならば、カーボンオフセットの対象としている人工林よりも多くの二酸化炭素の固定能力を秘めているということです。

ただし、これには適切な管理がなされ、5年サイクルで竹林を管理する必要があるともいえます。

国内において大きな問題となっている放置竹林は、5年サイクルで管理することで、大いなる二酸化炭素固定の主役ともなりうるということになるといえるのでしょうか。

引き続き調べてみたいと思います。