芝生専用の除草剤は安心?除草剤には発がん性はないの?

このブログでは、芝生の雑草対策を紹介する中で、除草剤の使用について、

「適正な方法で適正な場所での利用であれば、除草剤の使用もおすすめ」

という立場で紹介しています。

「除草剤」と聞くと、「安全なの?」「発がん性とか大丈夫なの?」と思われる方もいらっしゃると思いますので、今回は「芝生専用の除草剤は安心?除草剤には発がん性はないの?」というテーマで紹介したいと思います。

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主婦の方が考えるガンの発生原因とガンの研究者が捉えているガンの原因の違い

下のグラフは、主婦の方が考えるガンの発生原因とガンの研究者が捉えているガンの原因の違いが、雑誌で紹介されたグラフです。

引用:農薬工業会

このグラフを見ると、主婦が漠然とガンの原因は「食品添加物」や「農薬」と捉えているのに対して、実際にガンを専門に研究している疫学者は、ガンの原因は「タバコ」や「普通の食べ物」と捉えていることがわかります。

このグラフを見る限りにおいては、ガンの疫学者は、農薬をガンの発生原因としては捉えていないことがわかります。

日本で販売されている除草剤には、発ガン性は無い。

日本で発売されている除草剤は、驚くほど厳しい「農薬取締法」によって、薬剤の安全性についての評価がなされています。

この「農薬取締法」において、発ガン性の疑いのある化学物質は、農薬として登録販売ができないようになっています。

除草剤などの農薬を申請する場合、申請者は極めて厳密な発ガン性試験を公的な試験機関に委託して試験を実施し、その結果のデータを、これまた厳しい第三者から構成される専門家グループによって審査を受けることが、義務化されています。

この様な、除草剤を登録するための、安全性の評価試験には、大変に長い期間と莫大なお金が掛かっています。

現在ホームセンターなどで販売されている除草剤は、このような厳密な試験を通過してきたものなのです。

以下、どのような安全性についての評価がなされているのか、説明をしたいと思います。

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(1)急性毒性試験

一度に多量の物質が体内に入った場合に現れる毒性で、マウスやラットなどの実験動物を用いて行う試験です。試験に使われた動物の半数が死ぬであろうと推定される供試物質の量を算出します。数値は体重1kgあたりの供試物質の量で表され、値が小さいほど毒性が高い(少ない量で実験動物が死ぬ)ということになります。

(2)眼と皮膚に対する一時刺激性

除草剤の散布液が目に入ったり、皮膚に付着したりした場合の危険性を知る試験で、ウサギを使って行われます。実際に皮膚に塗布などを行い、影響を観察します。

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(3)皮膚感作性

農薬に対するアレルギーを見るため、モルモットを使用して試験を行います。モルモットは人間に近いアレルギー反応を占めるため、皮膚に物質を塗布して影響を観察します。

(4)遅発性神経毒性

物質により時間が経過してから毒性を発揮するものもあります。成熟した雌の鶏に検体を投与し、反応があった場合には、連続投与し13週間症状を観察する試験です。

(5)亜急性経口毒性試験

少量であっても長い期間の物質を摂取し続ける場合に起こる影響を知るための試験で、通常ラットと犬を用いて試験を行います。ラットは、一群あたりオスメス10頭、犬は各4頭で、最低4群を用意ます。これらの検体に90日間、餌に物質を混入して投与し、毎週、それぞれの検体の、眼、尿、血液などの検査を行い、検査終了後解剖し、詳細な病理検査を行うものです。この試験により、各毒性項目についての異常は、殆ど判明するといわれています。

(6)慢性経口毒性試験

急性中毒症の見られない少ない量でも、長年月にわたって摂取し続ければ中毒症状を起こす例もあります。この試験は、作物に残留する微量の農薬の安全性判定の基礎となる重要な試験で、この結果に基づいて残留の基準値が決められます。

(7)発ガン性試験

マウスとラットを用いて試験を行います。使用する動物数は、1群オスメス各50頭、4群以上を準備し、試験を行います。通常、発ガンは自然にできる腫瘍の発生頻度が高くなる形で現れることが多いですが、前ガン病変や細胞の僅かな異常を発見するために、病理組織学的検査が重要な試験です。

(8)繁殖試験

動物の生殖能力は、摂取した物質によって障害を受けることがあります。直接的には精子の形成が阻害され、間接的には性ホルモンの活性レベルが低下して、繁殖の異常が起こります。

通常ラットを使用して試験を行い、検体を2世代以上、慢性毒性試験と同様に連続投与し、その間の後部率、妊娠率、受精率、分娩率及び繁殖率の変化の有無について調査します。

(9)催奇形性

サリドマイドでよく知られているような胎児への悪影響の有無を調べる試験で、需要な毒性試験のひとつです。通常ラットとウサギを用いて、母体が中毒症状をあらわず量の検体を、交尾後、退治の手足や内臓の形成される時期に投与をし、分娩前日に解剖し、胎児の異常の有無を調べる試験です。

(10)変異原生

体細胞あるいは生殖細胞に突然変異を起こさせる性質の有無を調べる試験です。突然変異は細胞内の染色体の上にある遺伝子の変化によっておこり、発ガン性、催奇形性と密接な関係があるので、この試験結果である程度の予測ができます。備瀬宇物や哺乳動物の細胞を用いた、簡便で信頼性の高い試験です。

その他

ここであげたほかにも、いくつもの検査項目があります。全体で34項目もの試験を長期にわたって行い、これらの試験に合格したものだけが、ホームセンタに並んでいる、芝生の除草剤なのです。

「芝生専用の除草剤は安心?除草剤には発がん性はないの?」まとめ

「芝生専用の除草剤は安心?除草剤には発がん性はないの?」ということで、除草剤が薬剤として認定され、ホームセンターに並ぶまでに、どのような試験と検査が行われ、ホームセンターへ並ぶのか、紹介しました。

これほどの試験を経て、はじめて芝生対策の除草剤は、販売されています。

薬剤メーカーの担当者の話では、「普段食べているもので、よほど危険な毒性を持つものもあるんですよ」とのことです。

「安心してどんどん除草剤を使用しましょう」とはいいませんが、適正な使用方法を守っていれば、芝生対策の除草剤としては、効果的に利用できるのではないでしょうか。

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